Uxg XGammaチームへの参加に興味を持った皆さんへ
(大学院志望者+PD志望者+来年の名大4年生)
Last update, 2024/4/26
私たちは、宇宙物理、特に高エネルギー現象に興味のある人、人工衛星を使って未知の天体現象を探ってみたいひと、自然界におけるまだ未解明の粒子加速、例えば雷雲中でのMeV電子静電場加速の研究をしてみたい人などを募集しています。
X線観測研究では、2023年に打ち上がった革新的な精密X線分光を実現するXRISM衛星を中心に研究を進めます。X線分光観測を革新するビッグイベントです。XRISMは過去の衛星の30倍も優れた、まさに桁違いのX線輝線分光能力を有しており、希少な重元素の精密測定などに加えて、輝線のドップラー測定を用いた宇宙の高温ガス(宇宙のバリオンの大半が高温ガスです)のバルクな運動の測定により「静止画を動画にする」力があります。さらに輝線の広がりを用いて世界で初めて直接的な乱流の測定が実現します。宇宙における粒子加速の大きな部分を占めると考えられている乱流加速など、これまで複数の理論はあるもののその検証が不足して決着のつかなかった問題の理解が、大きく前進することは間違いありません。我々は衝突銀河団の動的な姿の研究などを進めています(大宮et al. 2022 PASJ)。
MeVガンマ線X線観測研究では、ついに27年ぶりの全天MeV観測衛星であるNASAのCOSI衛星が2027年の打ち上げ予定で開発が進んでいます。「感度の谷」としてなかなか観測が進まなかったため、逆説的に新発見の宝庫と期待されるMeV宇宙観測の機運が高まってきました。アメリカのUC バークレー校やNASAを中心とする計画に、我々と東大Kavli IPMUが開発メンバーとして参加しています。
次世代観測装置開発では特に硬X線、MeVガンマ線の観測装置開発で衛星搭載や気球実験を目指した先端装置開発を進めています。半導体コンプトンカメラを用いた宇宙MeVガンマ線の気球観測装置の実証実験 miniSGD を進めています。先端のCdTe両面ストリップ検出器やMPPC光センサーを用いたアクティブシールドを用いており、同時に2030年代の世界の硬X線観測衛星の将来計画の主検出器の技術実証も兼ねています。今こそ、将来衛星の搭載機器の設計を決定する時です。
多様なガンマ線観測研究も推進しています。硬X線、MeVガンマ線の次世代装置開発、衛星搭載投資開発の一環として、その技術を生かした3つの研究を進めています。1つめは、雷ガンマ線観測です。北陸の冬季雷という世界で最も雷ガンマ線を観測しやすいところに、名大中心で2箇所の大型検出器と4箇所の小型観測装置を展開し、阪大や理研などと共同で40箇所を超える小型観測装置により観測網を構築しています。2019年度から金沢に展開している雷雲からの継続ガンマ線(ガンマ線グロー)の方位測定用の観測装置2台に加えて、2022年度には雷放電由来の突発ガンマの指向性観測を観測する新型の観測装置も2種類設置しました。大学院生と4年生を中心に開発研究、現地での設置と観測(秋から翌春)、その後のデータ解析研究を続けています。観測装置のベースとなるシステムは、宇宙硬X線・MeVガンマ線観測装置のそれと共通にすることで、小型軽量高性能でかつ低消費電力としており、さらに装置の改良を通じて、衛星搭載機器への技術のフィードバックも目指しています。
のこる2つは、月面の中性子観測による水探査と地球低軌道からの距離を生かしたガンマ線バーストの時刻差位置決定精度向上の両立を目指した月面ガンマ線天文台計画と、国際宇宙ステーションからのX線吸収観測で超高層大気の密度測定を目指した計画です。いずれもこれまでの衛星搭載装置開発経験をフルに生かして、ガンマ線装置の開発、概念設計、構造設計、システム検討などを進めています。
少しでも興味が沸いた方は、遠慮なく中澤までメールください(連絡先nakazawa_at_u.phys.nagoya-u.ac.jp)。当グループには、名大だけでなく、他大学出身の学生も多くおります。