X線観測研究では、2023年に打ち上がった革新的な精密X線分光を実現するXRISM衛星を中心に研究を進めます。X線分光観測を革新するビッグイベントです。XRISMは過去の衛星の30倍も優れた、まさに桁違いのX線輝線分光能力があります。すでにデータ解析が始まっていますが、蛍光輝線のドップラー測定を用いた宇宙の高温ガス(宇宙のバリオンの大半が高温ガスです)の運動の測定により、すでに乱流が想定より小さく、バルクな運動がしばしば大きく見られることがわかってきました。銀河団高温ガスの乱流発達は想定通りではなく、プラズマの粘性など色々な考察が始まっています。またMpcスケールの巨大電波ハローを持つ銀河団において、種となるGeV電子は「乱流加速」で生まれていると言われてきましたが、これもよくよくデータを見る必要があります。一言で言えば、想定外の大変面白い結果がどんどん出てきています。我々は衝突銀河団の動的な姿の研究などを進めています(大宮et al. 2022 PASJ, 2024 AandAなど)。 XRISM関係の論文もacceptされ("XRISM/Resolve View of Abell 2319: Turbulence, Sloshing, and ICM Dynamics", Omiya, Nakazawa, Ushica, Scott et al. 2025, in press)、他にも執筆中です!