名古屋大学U研X線グループ
名古屋大学大学院理学研究科 素粒子宇宙物理学専攻 宇宙物理学研究室
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「あすか」衛星による遠方銀河団のX線観測

熊田有希子

Abstract

銀河団は、重力的に束縛された最も大きな階層であり、大きさ〜Mpcの中 に、数百から数千の銀河と、高温107 〜 108 K で 低密度10-2 〜 10-3 atoms cm-3のプラズマガスから構成されている。X線によ る観測から得られるプラズマの温度、密度、重元素組成比とその空間分布は、 銀河団の構造と進化を探る上で重要な情報である。
過去のX線天文衛星による銀河団の観測では、温度が精度良く決められたもの は 赤方偏位z<0.2までであり、さらに遠方の銀河団については4keV以下のX 線の輝度分布のみ得られている。このような制限のもとで近傍の銀河団との 比較がなされてきたが有意な違いは見られていない。唯一、z>0.2の銀河団 でX線光度関数の違いが指摘されているのみである。

X線天文衛星「あすか」は、0.5-10keVの鉄輝線を含む広いエネルギーバンドに おいて、高感度・高エネルギー分解能の撮像観測が可能である。これによって、 さらに遠方の銀河団の温度、重元素組成比を精度良く決めることができる。

本論文では、X線天文衛星「あすか」で観測された16個の遠方 (0.1 < z < 0.55)銀河団, A963, A2218, Zw3146, A1689, A370, CL0016+16, A2163, A665, A1722, A1413, A5 86, A1204, MS0440+0204, A1246, A3921, A1942 の解析を行なった。まず、各銀河団の平均のプラズマ温 度T、鉄の存在比ZFe、X線光度LXを求めた。銀河団の平均のプラズ マ温度は 4-12keVに分布し、鉄輝線はほとんどの銀河団から有意に検出されて おり、鉄の存在比は太陽の0.1-0.4倍となった。これらのうちで10個余りの z > 0.2の銀河団については、「あすか」ではじめて得られたものである。以 上のサンプルに基づき、プラズマ温度T、鉄の存在比ZFe、X線光度 LXの相関関係を近傍の銀河団と比較した。

LX-T相関関係は、銀河団の等温・静水圧平衡を仮定すると、X線光度は温 度の巾3.5 乗に比例すること期待され、今回の結果はこれに矛盾はしない。し かし、個々の銀河団をみるとばらつきがあり、これのばらつきの原因としては cooling flow、mergingなどが考えられる。
次に、各銀河団の温度構造の空間分布を調べるために、低エネルギー側に対す る高エネルギー側のX線強度比の銀河団の中心からの距離の依存性を調べた。 今回解析した銀河団のなかで、とくにA2218はこの比の半径依存性が顕著にみ えた。その比の違いを温度に直すと中心部と周辺部では2〜3keVあり、周 辺部の方が温度が下がっている。他の銀河団についても同様な傾向が見られる ものもある。

 
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