名古屋大学U研X線グループ
名古屋大学大学院理学研究科 素粒子宇宙物理学専攻 宇宙物理学研究室
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多層膜スーパーミラーを用いた硬X線望遠鏡の研究

芳賀 一寿

Abstract

多層膜スーパーミラーは、従来の斜入射全反射鏡では、事実上不可能であっ た20keV以上の硬X線を効率良く反射できる新しいX線反射鏡である。本論文で は、これを用いてこれまでのX線天文学においては不可能であった硬X線の集光 結像観測を可能にする、硬X線望遠鏡の開発研究について述べる。反射鏡を用 いることで、硬X線の撮像観測は、従来の観測に比し、その検出限界を大幅に 下げることができる。このため、例えば厚い吸収物質に隠されて見えなかった 微弱なX線天体の1つである2型セイファート銀河等の活動銀河核を検出する ことなど、宇宙X線背景放射の解明にもつながる有力な観測手段になることが 期待される。
本研究では、まず硬X線望遠鏡開発の柱となる多層膜スーパーミラーの設計を 行った。多層膜は重元素と軽元素を数10Aずつ交互に積層することで、結 晶と同じ周期構造を人工的に作り出す。これにより、ブラッグ条件を満たす角 度で、特定の波長のX線に対して非常に高い反射率を得ることができる。多層 膜スーパーミラーは、この多層膜の周期長を可変にすることで、望遠鏡の波長 域、視野を広げ、大有効面積を得ることを可能にする。私は異なる周期長の複 数の多層膜のブロックからなるスーパーミラーについて、反射率とエネルギー 幅の積(積分反射率)を最大とする周期長、層数、重元素と軽元素の厚さの比 の組合せを決める最適化の手法を確立し、それを試みた。
また、X線望遠鏡製作のために導入された円筒内面スパッタ装置の安 定性、スパッタ条件、成膜速度、膜厚分布などの特性を調べ、Ptなどの単層膜、 Pt/Cなどの多層膜そして、Pt/C多層膜スーパーミラーを実際に製作した。
これを研究室にあるX線発生器から得られる特性X線と連続X線を用いて評価し、 d=44.6, 32.7, 37.9, 31.1Aという4ブロック、70層のPt/C多層膜スー パーミラーで入射角0.3度、27〜40keVにおいて、反射率20〜30%、ほぼ期待 通り広エネルギー帯域における高反射率が得られることを明らかにした。

 
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