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UXグループ
メンバー紹介
2014
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2005〜2009
2000〜2004
1995〜1999
 
about us
U研X線グループ
Uxメンバー
國枝秀世 教授
Hideyo Kunieda, Prof.
田原譲 教授
Yuzuru Tawara, Prof.
松本浩典 准教授
Hironori Matsumoto, Assoc. Prof.
石橋和紀 特任准教授 
Kazunori Ishibashi, Assoc. Prof.
古澤彰浩 講師(教養教育院)  
Akihiro Furuzawa, Lecturer
田村啓輔 講師 
Keisuke Tamura, Lecturer
山下廣順 名誉教授  
Koujun Yamashita, Prof. Emeritus
宇宙は極限の実験室
 我々が宇宙に目を向ける時,大変驚かされることは,その極端な非一様性です.宇宙には,地上で実現が不可能な,極端に希薄な領域と,反対に極端に高い密度の現象が共存しています.大事なことは,人類が地上で実現できる物理状態は,宇宙の中では,極めて限られたパラメータの範囲にあることです.宇宙とは,地上の限られた条件で確立された物理法則が,極限の物理状態でも,確かに成り立つか実証するための,「極限の実験室」であると言うこともできます.
X線で宇宙を見ると
 宇宙からの情報は,電磁波,宇宙線粒子などから得られますが,古来,人類は可視光の狭い波長域での観測に頼って来ました.1960年代,ロケット,人工衛星が利用線による宇宙の観測が始まりました.可視光の千分の一と言う短い波長の光であるX線は,地上であれば,数万ボルトの電圧で電子を加速してターゲットにぶつけることで発生させます.宇宙では,数百万度から一億度に達する超高温な領域で,熱的に同様な高エネルギーな電子を作るか,磁場・電場で電子を加速することで,X線を発生します.このため,X線で宇宙を見ると,こうした,超高温,高エネルギー現象を選択的に見出すことになります.
X線望遠鏡
 はるかな宇宙のはてから来るX線の画像を撮るには,X線望遠鏡が不可欠です.しかし,可視光の千分の一の波長のX線は,エネルギーが大きな分だけ,斜め入射角(鏡面から測った角度)を小さくしなければなりません.注目している7keV付近では斜入射角は1度以下になり,図1の様な構造の望遠鏡となります.これを人工衛星に搭載して大気の外に打上げるには,極めて軽量にする工夫が必要です.当研究グループでは,NASAゴダード研究所と共同で,あすか衛星以来,3機の人工衛星のためにX線望遠鏡を開発して来ました.
すざく衛星によるX線観測
 日本のX線天文衛星としては5機目となるすざく衛星は,2005年7月に打上げられ,順調に観測を続けています(図2).この衛星には我々が開発した5台のX線望遠鏡が搭載され,CCDカメラを用いた焦点面検出器で,X線の像とスペクトルが観測されています.もう一つの観測システムは,撮像系を持たないが,高い感度を持つ硬X線検出器であり,すざく衛星としては,0.2keVから200keVまでの広帯域観測に大きな特徴があります.
 観測の一例として,活動的銀河核を取り上げます.これは,銀河の中心核が,銀河に属する1000億個を越す星からの放射の総和を越す程明るい天体です.中心核には,太陽の数百万−1 億倍の重さのブラックホールがあり,周りのガスを飲み込んで,X線で光っていると考えられています.ブラックホールの強い重力場と強い放射場の中の降着流の物理状態をX線放射から知ることができます.図3 のスペクトルでは,中心核からの強い放射(べき型成分)と,強い放射に晒された周囲の物質からの反射成分,蛍光X線が見られます.特に,蛍光X線は広がったプロファイルを持ち,これは相対論的ドップラー効果と,重力場による赤方偏移によるものと考えられています.
 この他,超新星残骸,銀河団など,広がった天体では,これまでになく,低いバックグランドの観測が可能になり,輝線を用いたプラズマ診断が新たな展開を生みつつあります.
 多重薄板X線望遠鏡  多重薄板X線望遠鏡2
図1.多重薄板X線望遠鏡
X線天文衛星すざく 活動的銀河核NGC3516からの鉄輝線プロファイル
X線天文衛星すざく 活動的銀河核NGC3516からの鉄輝線プロファイル(冗談はモデルスオエクトル.下段は観測スペクトル)
気球実験による硬X線撮像観測
 すざく衛星までのX線望遠鏡は,10keVまでの軟X線の集光結像を可能にして来ましたが,これを60−80keVの硬X線まで延ばす努力を,当研究グループでは続けて来ました.反射鏡表面には,ナノメータの薄膜を数十層,積層した多層膜を用います.しかもその層厚を変化させることで広い波長域で高い反射率が得られる,スーパーミラーを開発して来ました.現在では2−7nmの薄膜を数十−百積層し,80keV近くまでをカバーしようとしています.一方,25keV以上の硬X線は,大気上層40km近くまで上昇すると,吸収が少なくなり,天体観測が可能になります.このため,多層膜スーパーミラーによる硬X線望遠鏡を,8mの光学ベンチ前端に,硬X線撮像検出器を後端に取り付けて,気球に搭載しました.NASAゴダードとの共同実験InFOCμS計画で3 回の飛翔を行い,世界で初めて本格的な硬X線撮像観測に成功しました.2006年には,図4の写真にあるゴンドラをすべて自分達の手で開発し,ブラジルで飛翔実験SUMITを行いました.
 この波長域の望遠鏡観測では,桁違いに感度が高くなることと,空間情報が初めて得られることで,例えば,このエネルギー領域で卓越して来る,非熱的な放射天体の分布とスペクトルから放射機構を究めることが期待されます.
2006年11月19日,ブラジルで打ち上げた,硬X線観測気球ゴンドラ NeXT衛生計画(2013年頃打ち上げ目標)
2006年11月19日,ブラジルで打ち上げた,硬X線観測気球ゴンドラ ASTRO-H衛星計画(2013年頃打ち上げ目標)
将来を目ざして(ASTRO-H衛星計画)
 我々は硬X線望遠鏡を主検出システムとして,すざく衛星の次の衛星計画としてASTRO-H衛星計画(2013年打上げ目標)を提案し,気球で拓く硬X線天文学を大きく展開しようとしています(図5).焦点距離12m,口径45cmの硬X線望遠鏡2 台を備えると同時に,軟X線で高分散分光観測を行い,ダイナミックな宇宙の姿を明らかにしようと考えています.
学生諸君へ
  現在は,X線衛星すざくから,世界で第一級のデータが日々もたらされ,そこから宇宙の新たな姿が見えて来ました.更に,我々の研究室では,世界でも最先端の観測装置を自ら作り,これまでの限界を超えようとしています.世界の第一線に最も近い研究の世界に,積極的に加わってくれる学生を待っています.
 
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