名古屋大学U研X線グループ
名古屋大学大学院理学研究科 素粒子宇宙物理学専攻 宇宙物理学研究室
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多層膜スーパーミラーとは
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第1回:2001.7.6
写真集
第2回:2004.5.31
第3回:2004.9.16
 
研究概要
多層膜スーパーミラーとは
 先に述べたように、硬X線を反射するためにはBragg反射を利用する必要があり ます。Bragg反射をおこすものの代表として結晶が上げられます。このような 結晶は、X線分光用の素子として実際に放射光施設等のX線ビームラインで活用 されています。しかしながら、分光素子として利用できるということは、それ だけ反射できるX線のエネルギーが限られているということでもあります。つ まり、入射角度を決めてしまうと、ごく狭い限られたエネルギーのX線しか反 射できないことになります。また、結晶の構造の周期の長さ(格子定数)は結晶 によって固有のものなので、こちらの都合に合わせて自由に変更するわけには 行きません。これでは、ほとんどX線の数を集めることができないし、X線のス ペクトルを得ることもできません。また、X線はエネルギーによって決まった 角度にしか反射しないので、視野を広げることもできなくなってしまいます。 これでは、X線望遠鏡として成立しません。

そこで我々は、種類の異なる物質をごく薄く交互に重ねていく多層膜を反 射面として用いました。多層膜なら、周期長を自由に変更できるので、目的の エネルギーに合わせて設計することができます。
しかしながら、多層膜によって反射できるX線のエネルギーは結晶ほど狭くは ないものの、やはりかなり限られてしまいます(図1参照)。

図1: X線反射鏡の反射率の違い
図1
 多層膜によって得られる反射率は層数Nの2乗に比例します。一方、反射率の幅は1/Nで細くなっていくため、ある程度の反射率を確保するためには反射 できるエネルギーの幅が狭くなるのは避けられません。これでは、結晶と同様、望遠鏡の反射面として使うには問題ありということになってしまいます。

そこで、我々は、多層膜の周期を変化させる方法で、この問題を解決しました。 このような多層膜の構造の周期長を変化させた多層膜を多層膜スーパーミラーと呼び ます。図1に赤線で示されているのが多層膜スーパーミラーの反射率の例です。 周期長一定の多層膜と比較して、最大の反射率こそ及びませんが、広い範囲に 渡って(この場合では25-38keVくらい。)反射率を得ることができます。

目的にあった多層膜スーパーミラーをどのようにデザインするかについてはいろいろな手法が考えられます。硬X線用の望遠鏡のデザインは、以下のような性能が重視されます。
  1. できる限り広いエネルギー域で反射率を持つこと。
  2. 絶対的な反射率が高いこと。
  3. 反射率の形が、できるだけ真っ直ぐな形をしていること。
 我々の研究室ではこれらを目標に、ブロック法と言う方法でデザインを行いま した。詳しは研究プロジェクトの該当の部分をお読み下さい。
 
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