灼熱と粒子加速の支配する「高エネルギー宇宙」:宇宙は重力の力で物質がどんどんと集中してゆき、重力ポテンシャルが深くなることで高エネルギーになってゆきます。その究極の姿が、中性子星やブラックホールであり、その周辺は数千万度から数億度の高温になり、X線を強く放射します。宇宙大規模構造の節にある宇宙最大の自己重力系、銀河団は、数千の銀河の大集団ですが、その重力ポテンシャルの深さも温度にすると1億度程度であり、そこに捕らえられたガスはこれもまたX線を強く放射します。このような灼熱の天体は、エネルギー的に宇宙の天体進化も支配する重要な天体です。重力エネルギーの解放や、あるいは超新星爆発などで、秒速数千kmのガスの流れができると、これが周囲のガスと衝突して衝撃波を形成します。衝撃波では運動エネルギーが熱エネルギーに変換されますが、同時にGeV、TeV、PeVを超える高エネルギー粒子を加速します。非熱的なエネルギーは実は熱的なエネルギーの数割に達することが多く、この非熱的宇宙もまた天体進化に大きな影響を与えます。我々はこれらの高エネルギー宇宙観測研究、そのための将来衛星搭載の装置開発研究、また、雷ガンマ線研究など、最先端の装置開発と観測研究を進めています。
A: X線を用いた
高エネルギー天体のデータ解析の先端科学、
B: 次世代の
衛星搭載のX線・MeVガンマ線観測を切り開く最先端の装置開発と大気球による実証実験、
C: その技術を応用して
自然界で唯一観測可能な電場加速器、雷雲中の電子加速を研究するための雷ガンマ線の観測装置開発と冬季の金沢での観測実験
などを実施します。超小型衛星関連の開発も目指しています。