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研究概要
Astro-EII

 Astro-E 衛星は、「あすか」に搭載したX線望遠鏡 (ASCA XRT) を更に改良、大型化したX線望遠鏡を5台(X線カロリーメータ用1台とX線CCD 用4台) 搭載し、その焦点面にはこれまでにない高エネルギー分解能(X線のエネルギー を識別する能力)をもつX線カロリーメータ(XRS)1台、 X線CCDカメラ(XIS)が4台設置されています。また、こ れらの検出装置に加えて硬X 線検出器(HXD)を搭載する ことによって軟X線から硬X 線までの広い波長帯(0.5 〜 600 keV)を単一の衛 星でカバーする、世界的にもユニークな衛星です。

このような特色を持つAstro-E衛星は、高空間分解能を誇るアメリカのチャ ンドラ衛星、大有効面積を誇るヨーロッパのニュートン衛星とともに X 線天文 学に新たな展開をもたらすものとして非常に期待されていました。

Astro-E 衛星は 「あすか」衛星の後継機 として 2000年2月10日に文部省宇宙科学研究所鹿児島宇宙空間観測所(KSC)よ り打ち上げられました。わが国 5 番目のX線天文衛星となる予定でしたが、 M-Vロケットの一段目の故障で衛星軌道に投入できず、燃え尽きてしまいまし た。Astro-E を失ったことは、日本だけでなく世界の天文学にとって大きな損 失であり、それを回復するためにも Astro-E の1日も早い復活が望まれていま す。現在、Astro-Eと同等、もしくは改良した衛星 Astro-E II を打ち上げる べく、活動が開始されています。(詳しくは宇宙科学研究所X線グループホーム ページを参照して下さい。リンク集へ)

名古屋大学U研は、NASAゴダード宇宙飛行センター、宇宙科学研究所 とともに Astro-E 搭載X線望遠鏡の開発、性能評価実験を担当しました。

Astro-E 搭載X線望遠鏡 (Astro-E XRT)

 Astro-E 搭載X線望遠鏡は、「あすか」衛星に搭載されているX線望遠鏡を さらに改良、大型化した多重薄板X線望遠鏡で、X線カロリーメータ用X線望遠 鏡(XRT-S)とX線CCD用X線望遠鏡(XRT-I)の2種類が搭載されています。X線望遠 鏡は名古屋大学 U研、NASAゴダード宇宙飛行センター、宇宙科学研究所に よって製作、性能評価が行われました。

XRT-I は、口径 40 cm、焦点距離 4.75 m で、鏡面物質には「あすか」と 同じく金が使われており、積層数は175枚です。 XRT-S は、口径は XRT-I と同じですが、焦点距離は 4.5 m で、鏡面物質には 4 keV 以上のX線に対する反射率の向上のため、プラチナが使われています。 積層数は 168 枚です。

「あすか」搭載X線望遠鏡からの改良点を以下に列挙します。

口径の拡大
  「あすか」X線望遠鏡は口径 35 cm、重量 9.8 kg でしたが、Astro-E では口径 40cm、重量 18 kgと大型化され、開口面積は「あすか」望遠 鏡の 1.5 倍となっています。
焦点距離の延長
  焦点距離が大きくすることによりX線の曲げ角を小さく、つまり、反射 鏡に対するX線の斜入射角(反射鏡の表面から測った角度)を小さくする ことが出来ます。これは特に高いエネルギーのX線に対する反射率の向 上につながります(X線の反射 )。 「あすか」X線望遠鏡の焦点距離 3.5 m をさらに4.75m (XRT-I)、4.5 m (XRT-S)に延長することによって高いエネルギーのX線に対する有効面 積の増加が図られています。8 keVのX線に対する有効面積は、「あす か」望遠鏡の約4倍(XRT-I)です。
レプリカ法の採用
  「あすか」X線望遠鏡ではアクリルコーティングによって表面を平滑化 したアルミフォイルに金を蒸着したものが反射鏡として用いられまし た。Astro-E X線望遠鏡では表面が非常に滑らかな円錐形の母型に蒸 着された鏡面物質(金、プラチナ)の膜を、エポキシ接着剤を用いて円 錐形に熱成形されたアルミフォイルに写し取る レプリカ法によって製作され た反射鏡を採用しました。この反射鏡は、母型の滑らかな表面を写し 取るため、表面の凸凹が非常に小さくでき、結像性能の向上しました (角度分解能は「あすか」望遠鏡に比べ約1.5倍の性能向上)。また、 ミクロンサイズの凸凹が小さくなったことにより、それによって生じ るX線の散乱も小さく抑えられています(Astro-E XRT のフォイルの作り方)。
鏡面物質としてプラチナを採用(XRT-S)
  衛星の構造上、X線カロリーメータ用の望遠鏡の焦点距離は、X線CCD用 望遠鏡の焦点距離よりも短くなっています。焦点距離が短いため、X線 CCD用望遠鏡に比べ有効面積が小さくなります。そこで、鏡面物質を金 よりも反射率が高いプラチナにすることにより、高エネルギX線に対す る有効面積を稼いでいます。
Astro-E XRT 諸元 XRT-I XRT-S ASCA XRT
望遠鏡外径(内径) 40(12) cm 40(12) cm 34(12) cm
望遠鏡重量 (kg) 18 18 9.8
焦点距離 (m) 4.75 4.5 3.5
積層数 175 168 120
開口面積 (cm-2) 873 887 558
鏡面物質
プラチナ
有効面積 (cm-2 (1.5keV) 575 577 505
(4.5keV) 434 425 180
(8.0keV) 353 313 90
空間分解能 (分角) 2 2 3
suzaku
suzaku2
suzaku3
X線カロリーメータ (Astro-E XRS)

 Astro-E XRS は、NASAゴダード宇宙飛行センター、ウィスコンシン大学、東京 都立大学、宇宙科学研究所によって開発、製作された、衛星搭載機器としては 世界で初めてX線マイクロカロリーメータを使ってX線天体を観測する装置であ す。 X線カロリーメータは入射したX線光子のエネルギーを素子の温度上昇として測 定するもので、動作温度 65mK (絶対零度 0.065度)でX線光子のもつエネルギー 測定に伴う不定性が 0.2 % という、X 線CCD(6 keV のX線に対して 2 %)を大 きく1桁上回る、非常に優れたエネルギー分解能を誇る素子です。 素子の冷却には固体ネオン、液体ヘリウム、断熱消磁冷凍機の3段冷却装置が 用いられ、これらは真空断熱容器の中に収められています。

XRT-I は、口径 40 cm、焦点距離 4.75 m で、鏡面物質には「あすか」と 同じく金が使われており、積層数は175枚です。 XRT-S は、口径は XRT-I と同じですが、焦点距離は 4.5 m で、鏡面物質には 4 keV 以上のX線に対する反射率の向上のため、プラチナが使われています。 積層数は 168 枚です。

「あすか」搭載X線望遠鏡 からの改良点を以下に列挙します。

X線CCDカメラ (Astro-E XIS)

 Astro-E XIS は京都大学、大阪大学、マサチューセッツ工科大学、宇宙科学研 究所が開発製作したX線CCDカメラです。エネルギー分解能は 6 keV のX線に対 して 2 % で、X線カロリーメータに比べて1桁劣りますが、視野が大きく、位 置分解能はXRSより1桁以上優れています。

X線検出器 (Astro-E HXD)

 硬X線検出器は、東京大学、宇宙科学研究所を中心に開発された検出器で、 特殊な構造をもつシンチレーターとシリコンPINフォトダイオードを組み合わ せて、10 keV から 700 keV という広いエネルギー帯域を実現しています。 バックグラウンド(天体から来るX線以外の信号)が非常に小さく、10-100 keV のエネルギー帯では過去の如何なる宇宙X線観測機器より高い検出感度を持っ ています。

 
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